『ミッシェル・ガン・エレファントという奇跡について語る その2 』
俺らは好きなことしかやんないから。
といった、シニカルでクールな態度も魅力的だった初期。
『俺』の視点で語られる詩も、この頃はまだ、『僕ら』とかわらぬ路上の感覚で紡がれている。
だるそうで、ぶっきらぼうで、自分の嗜好にだけは真摯で。
路上の詩人が、けだるい夜の底で見た景色。
居心地の悪い世界に対し、大切なものだけは譲らない、と静かな戦いを挑む、初期村上春樹の描いた『僕』にも似たモノローグ。
しかし、ミッシェルには音楽があった。
内なる火を抱え、内界を降りてゆく『僕』に対し、チバの描く『俺』は火を掲げ、放った。
『俺』がしたいのは、ロックンロールだから。
照れることもなく、茶化すこともなく、『うるせえな、知らねえよ』と叩きつけた音楽。
1stアルバム
『cult grass stars』
メロディも軽快で、重さよりも切れ味の鋭さが光る。
エフェクターの類は一切使わず、アンプ直。使うのはカールコード。
閉じているんだか、開いているんだか。
得体の知れぬ、なんだかカッコいいバンドが出てきたぞ…!の
1stアルバム『cult grass stars』
の中から、名曲、『ブラックタンバリン』!