読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

SOUL EAT!!!

歓び跳ねる、踊り狂う、炸裂する虹、そのかけらを一灯

『新しい世界のカタチ』

 

爆笑の連続。というお決まりの表現もよく似合う

 

『21ジャンプストリート』

 

「この映画、すごい笑える」と『コメディ映画』をおすすめされると、条件反射的に(本当におもしろいのかね…?)と懐疑的になってしまうのは、なぜなのか。

それは、『笑い』の意味、『笑い』のツボが人それぞれ異なるからではないだろうか。

『怖い』は種類はあるけれど、体の反応は全人類皆同じである。

『笑い』には『クスリ』だったり『にやり』だったり、声をあげての爆笑だったり、心がぽっと温かくなるものだったり、人を見下したり、疎外したりと、種類も使い方もさまざま、体感もそれぞれである。

笑顔ひとつ、笑うしぐさひとつとっても、全人類共通とはいかない。

文字通り、千差万別である。

 

『21ジャンプストリート』

 

小気味よい爆笑が連続する映画である。

観終わったあとには、つぶやくだろう。

 

『あー、ふつうに良い映画だった』

 

とりあえず笑えるやつをみんなで観ようというときにもおすすめである。

みんな、ふつうに言うはずである。

 

『ふつうにおもしろかったよね』

 

だが、ここで強調しておきたいのは、

『21ジャンプストリート』

観終わったあとのスッキリ感といったら、

爽快!

の一語である。

 

ぷぷっ。

と思わず笑ってしまうシーンが散りばめられているので、長さを感じることは、まずない。

物語の流れもとても自然で、かつ、『次はどうなる?』と展開が読めない。(読めてしまってもどんな笑いでくるのかワクワクしてしまうので問題なし)

 

そして、よいコメディ映画には必ずあるものだが、シリアスな、人生にかかわる問題をきちんと描いている。

 

さて。どんな映画なのか。

21ジャンプストリート [DVD]

どんくさい、見るからにモテなそうな、“ 太ったエミネム ”シュミット。

ガタイがよくて、「世界は俺たちのもの」な人気者グループで女の子たちに囲まれているグレッグ。

交わることのない、ハイスクールの同級生だった2人は、再会する。

ポリスアカデミーで。

 

互いの欠落を補うことで、友達となり、やがては『かけがえのない相棒』となっていく2人。

課せられた任務は、最近出回り始めたドラッグの流れを探るための、潜入捜査。潜入するのは、ドラッグの出所と思われるハイスクール。

2人は、過去へタイムスリップするように、『高校生』として再び生活を送ることになる。

 

勘のよい方はお気づきだろう。

これは、『相棒』ものにして、『人生やり直し・転生もの』だ!

だが、ここでまた『21ジャンプストリート』、もう一ひねりする。

2人が取り違えられるのである。

勉強ができるシュミットは化学クラス。

派手な人気者の魅力を持つグレッグは演劇クラス。

これが入れ替わることとなる。

 

もう、この時点で笑いは確定である。

『異文化』であった世界。

『自分とは関係ない』と思っていた世界。

苦闘も失敗も目に見えている。

笑いどころは満載で、はずさない。(書いているうちに、もう一回観たくなってきた。あの『真剣』な顔だけで、もう充分に笑えてしまう)

 

勘のよい方は、さらにお気づきであろう。

この作品、『相互理解』という大テーマを内包しているじゃないか!

『異文化』であった世界。

知ってはいたけれど、ちょっとバカにしていたり、ひそかな憧れを抱いていたりした、『自分とは関わりがない』と思っていた世界。

 

神話のセオリーである、『異界』の『探求』

旅人はそこで宝を手にする。そして新しく生まれ変わる。

そう、『21ジャンプストリート』でも、2人は異界を探求し、宝を手に入れる。

2人は実際にその世界を生きることで、成長する。変化する。学ぶ。

だが、しかし。

『そのおかげで成長できました』

で終わらない。

 

だって、これは、2人の物語なのだ。

 

2人はそれぞれ互いの属していた世界を生きる。そこで人間的に大きく成長する。

だが、そこで2人が得たもっともよき宝は、互いをより深く知ることができた喜びである。

 

大笑いできて、くすっと、ぷぷっと噴き出して、

『もう一回高校生やるの!?』

『しかも、名前間違われてるし!』

と、シチュエーションでもうおかしい上に、

『おまえは最高の相棒だよ!』

の凸凹コンビっぷりも最高な、

そこに加えて、まさかの、『えっ、本当に!?』のゲストまで登場。

しかも、

続編まであるんだってよ!

と『次』があることで希望まで感じさせてしまう、

そんな映画を、我々、鑑賞したのちに、伸びをして、

『あー、ふつうによかったね』

と、にっこり笑えてしまうのである。

良い時代である。

 

そう気持ちよく観終えることができるのは、製作者側が実際どう目論んでいたのかまでは知る由もないのだが、やはり、

『21ジャンプストリート』が、

『異文化を認め合い、互いを知る』喜びを、

『これからの時代のあり方』を、

軽やかに、極上の笑いに包んで、提示してあるからではなかろうか。

 

そんなの、『夢物語』だろうか?

 

『夢物語』でけっこう。

だって、これは、笑える、ふつうの『夢物語』=『映画』なのだから。