『失ったものを取り戻すために。 “ オーシャンズ11” 』
痛快。
なぜか何度も観てしまう、事あるごとに観てしまう、
“素敵な映画”と言えば、これ!
『オーシャンズ11』
最低でも2回、観なければならない。
だって、つまり、2つの話なんだから。
1度目は、もちろん、ダニエル・オーシャンと愉快な仲間たち、11人が挑む、難攻不落の大仕事を愉しむ。
仲間たちの、なんと魅力的なこと!
11人もいたら、たいてい、中心人物3人くらい描いて精一杯。
それでも満足できるけれど、『オーシャンズ11』、
11人、みんな、素敵だ。
ひとりひとりの背景も想像できる。いわゆる『キャラ立ち』している。
もう、その掛け合いと、美術と、愉しんでいるだけで1回目は満足である。
ブラッド・ピット演じるラスティーを観るだけでも1回目は、もう、
『観てよかった!!!』
満面の笑みであろう。
映画として、とてもシンプル。
見せ方、魅せ方が本当にうまい。
前半30分でメンバー紹介。
その後30分で仕事の内容、計画を見せて、
後半60分で、クライマックスと大団円。
ミッションインポッシブル的はらはらドキドキはあるし、
ラスベガスのカジノ、“ 最高級に贅沢 ” な眼に美味しい映像も満載、
“ 絶対に無理 ” を“ 可能 ” にしてみせる、その心意気には勇気が湧くし、
物語のトーンにふさわしい解決法も見事、
何より、11人が、いい。
男たちが最後、横に並ぶエンディング、見つめる、それぞれの眼差し。
『ああ、いいなあ…!!!』
である。
続編が観たい…この面々の、また新たな冒険が観たい、
えっ、あるのっ!?うひゃー。
である。
だが、しかし。
『オーシャンズ11』を2度観ましょうというのは、映画が二層になっているからである。
その下部にて、ダニエル・オーシャンの物語が進行しているからである。
実のところ、それが太い流れを生んでいるからである。
ダニエル・オーシャンの物語、
それは、つまり、妻を奪われた男の物語である。
『取り戻すための戦い』の物語である。
ジョージ・クルーニー、なんとカッコよいことか。
あんな風にまっすぐに、
『君を取り戻すために来た』
と、愛することができたら。
それほどまでにひとりの女性を恋することができたら。
ロマンチックである。
対義語は “ しみったれてる ” である。
華やかで、お茶目で、極上のエンターテインメント
『オーシャンズ11』が、
『あー、面白かった』
で終わることなく、
『なんか、いい映画観たな…』
と、胸に残るのは、ひとえに、これが、ダニエル・オーシャンの『人生を賭けた大勝負』であるからだ。
『失ったものを取り戻す』ための、負けるわけにはいかない、切実な戦いを描いたものであるからだ。
“ 盗むならインカの仮面を ”
大泥棒の心意気も嬉しくなる、痛快かつ素敵な映画、
『オーシャンズ11』
凄腕だけど、ちょっと間が抜けている、その匙加減も見事!な11人の男たちを見るだけでも愉しくなります。