『 内なる獣に名前を与える 』
“心の中に魔物がいる”
ちょっと笑いながら、仕事終わりに雑談していたら、
思いのほか真面目な話になって、
のくだり。
友人に、浮気性の男がいる。
どうしても止められない。という。
アタマの中で、漫画みたいに、
天使と悪魔が戦うそうである。
そして悪魔が勝つそうである。
そして出会い系サイトに走るそうである。
知人に、暴力を振るう彼と付き合い続ける女子がいる。
ダメとわかっているのに付き合い続けている。
別れてもまた同じことを繰り返すのだオーラが出ている。
悲劇的かつドラマチックな人生に彩られた女性がいる。
一難去って、また一難。
どこまで続く、その連鎖。
こっちが済んだら、そっちかい。
呼び寄せてるとしか思えない。
言わなきゃいいのに、余計なこと言う。
黙っていればいいものを、
『なんすか、それ』
と口を挟む。喧嘩売る。
わかっちゃいるけどやめられない。
そう、わかっちゃいるけどやめられない。
何か、内側で、衝き動かす力がある。
心の内に飼うそれを。
彼は『魔物』と表現した。
「えー、なんでなんで」
「正直なほうが魅力的ですよー」
「ねえ。隠す必要なんてないのに」
「自分で思ってるほど、人は他人を気にしないものだよ」
などなど、ごくごく一般的なアドバイスが投げかけられる中、
ひとりの女性が言った。
『その劣等感って、どこで生まれたんです?』
「うーん…高校ん時ですねえ」
と会話が進んだのだが、
待て待て。
劣等感。
って、名前が与えられてるぞ。
すんなり受け入れて話が進んでるけど、
得体の知れぬ『魔物』に『劣等感』って名前がついたら、
それはほとんど解決に近く、
だって、
暗がりの中、よくわからんから、
それが『怪物』であるし『大きな』『おそるべきもの』であるのだ。
『劣等感』って『名前』がついたら、
なんだ、『幼いころ、父親とのあの思い出』じゃないか。
あるいは、『母親とのあの事件』とか、友人とのいざこざとか、
『魔物』じゃなくなってる。
『過去の自分が抱えた何か』だ。
だから、いずれは、
対決するときがくる。
あるいは、和解するときがくる。
どちらにせよ、対面するときがくる。
そうはいっても、
そんな簡単なことじゃないんだよ。
と、
気になった方は、
憤りおぼえる方は、
河合隼雄さんの本を読もう。
蜘蛛の糸、天上より、するする。
偉大。
『ダークナイト』のジョーカーの異形っぷりと言ったら。
幼い頃のあれこれは容易に想像がつく。
が、このジョーカーの何が怖ろしいって、過去のトラウマの果て、異形に変貌したのではなく、異形である為に過去を創造したのではないか、という邪悪さ感じさせるから。
にも関わらず、可愛らしさ、チャームを備え、見る者に微笑みさえ浮かばせてしまうという…
凶悪極まりない。
看護婦コスプレの爆破シーン、何度も観てしまう。
怖るべき悪の魅力。