SOUL EAT!!!

歓び跳ねる、踊り狂う、炸裂する虹、そのかけらを一灯

『黒で埋め尽くす。こころも、魂も、すべて黒で埋め尽くす  / " ベルセルク "』

 

 いっそのこと、狂ってしまえば、楽になれるのに。

 

抗うから、苦しい。

 

生きようとするから、苦しい。

 

もういいよ。

これまで、やるだけのことはやった。精一杯やった。

だれも責める者はいない。

 

眠りに落ちるように、抗うことをやめ、眼を閉じてしまえば、もう楽になれるのに。

 

世界はもはや手遅れだ。

 

大海を堰き止めていた門は開いた。

 

溢れ出す、巨大な龍のような奔流に、ひとりの人間が、

倒れまいと踏ん張ることなど不可能であろうし、

流れに呑みこまれ、渦に巻かれたところで、世界は何も変わらない。

 

事実、人々は巻かれ流されてゆく。

 

新しい世界が始まろうとしているのだ。

 

 

しかし、彼は立つ。立ち続ける。

 

異形の力に魂を蝕まれることさえ引き受け、立ち続ける。

 

背後の大切なものを守り通すために、立ち続ける。

 

世界が変わったあと、王として君臨する男を討つ者は、

己しかいないと、立ち続ける。

 

 

それは、不可能事だというのに。

 

 

" 道理 " を捻じ曲げることなど、誰にもできない。

 

運命も宿命も、何もかもが無理と言っているのだ。

 

もう、手遅れなのだ。すべてが。

 

 

それでも、彼は抗い続ける。

 

 

人の身で不可能だというのなら、人でないものにさえ堕ちて。

 

護り続けようと、救おうと、討つべきものを討ち果たそうと、抗い続ける。

 

 

ベルセルク 37 (ジェッツコミックス)

 

驚異の物語である。

 

連載が止まるのも無理はない。

 

人の身でありながら、魔物と対峙するため、己の暗黒と向き合い続ける男を描いているのだ。

人が、神や魔物に挑む物語を描いているのだ。

緻密に、丹念に。

 

幾多の絶望を引き受け、それでも尚、戦うことを選ぶ、狂戦士の物語、

ベルセルク

連載の再開を、気長に気長に待っている。

 

 

……にしても、映画の音楽ときたら。

 ベルセルク平沢進。誰が実現させたのやら。