SOUL EAT!!!

ぐるぐる回る 風の時代がやってくる

『真夜中、月明かりの下、めくる紙々』

 

嘘つけ

バレバレだよ

才能がない、なんて、人様に聞かせる文句じゃないんだよ

「あんなの無理」と諦めたのは本当はやりたくなかったからだよ

「うわヘタクソ」と隣の誰かが、

あるいは好きなあの娘が「かっこつけてるけど痛々しいよね」

嗤ったからだ

やめる理由も

諦める理由も

見つけ出すのは簡単なことだ

人の心はすぐにへたる

そういう風にできている

人の脳は自分の信じていることを取り上げる

そういう風にできている

怯えるこどもの言い分こそ真実、と聞き入れた

優しい心

「素敵だね」

そう言って、想ってくれた人はただの1人もいなかったのか

なぜ、君は、その声を拾わなかったのだ?

砂漠の砂粒ひとつと見えた、その輝石

なぜ、君は、きらきら光る綺麗な小石を大事にしなかったのだろう

投げつけられた泥水、冷や水、

浴びせかけられた砂埃、

どうしてそっちを真実と、

なぜ、君は、信じたのだろう?

数の問題

威力の問題

勝てそうにもない相手を前に

大勢の視線と意見の前に

君は臆して「やっぱりそうだよね」と膝をついた

孤立は怖いから

ひとり自分を信じるということは

おそるべき集中力と忍耐を必要とするから

君は仲間を必要とし、群を必要とした

賛同してくれる人たちのいるところへと移住した

 

 

" あらゆる否定の中で、ひとり、

信じるものを旗と突き立て、

王国の建設を誓え

 

脳天より尾骨にかけて突き抜ける

神のイカヅチに帯電せよ

迷い、怠惰を火花と散らし

合掌

己の信ずるところを生きよ "

 

 

…と、そのようなことはか書いてはいないのだが。

雷に撃たれるがごとく、その書は精神を屹立へと向かわせる。

飛翔を促す。

 

真夜中にめくる紙の手触り。

信仰も、育った国も、時代も、環境も、違う。

しかし近しい。その文字列から浮かび上がるその声、その眼。

真夜中、月明かりの下、指と眼だけを使い、研ぎ澄ます。

その声に耳を澄ます。

 調律の儀式と紙をめくる。

 

精神について (エマソン名著選)