『4月、師の月、志の月、4月』
その4巻を待っていた。
全11巻中、その4巻だけが絶版状態。
古書店見つけては「ないかな、ないかな」探し続けて、幾星霜。
そして、新装、1・2・3・4!!!
『力の話』、カスタネダシリーズ、その4巻を待っていた。
美しくて、強い。
待っていて、よかった。
素晴らしい装丁で生まれ変わり、ずっと探していた本がやってきたときの、あの喜び。
序文から、痺れた。
" 孤独な鳥の条件は五つ "
どんな書物か? とそれは、美しく、強い本。
哲学の書であり、呪術師の世界を描いた本であり、抽象的にならざるを得ない、比喩であり詩である、世界の事象を読み解くための本。
メキシコの呪術師のもとへ、真実の世界の見方を学びに行くカスタネダ。
人類学者が呪術師のもとへ教えを乞うかたちで、秘密の、呪術師の世界観が開示される。
あとがきで訳者の真崎さんが書かれているが、
" カスタネダは知的で小生意気な院生
ドン・ファンはどっしり構えた長老 "
書かれていること、その世界観がよくわからなくても、" 若者が師より教えを受ける " 、物語としての基盤がしっかりとあるので、異世界探訪もの、として読み進めることができる。
" 一般人 " の " カスタネダ " はよく失敗する。
『何をやっているんだか。今、おまえが何をしたのかわかっているのか? おまえは何も見ていないんだな』
" 師 " は呆れてみせ、そして、解説する。
その時、何が起きていたのかを。
それがどうして起きるのかを。
《戦士》はそのときどう対処するのかを。
それは " 一般 " の通念から外れた、奇想とも突飛とも取れる、信じ難い、真実。
1960年代後半に世に出、今なお読み継がれ、語り続けられている、カスタネダ・シリーズ。
" 意識を変性状態にする "
つまり、人間にはまだまだ秘められた可能性がある、と様々な媒介を用いて " 世界を広げる " ことに目覚めた時代。
カスタネダの著作がもたらした影響はそれはそれは大きかったのだと、今より過去を眺めてみれば、頷ける。
しかし、カスタネダの著作がなぜ今もなお読み継がれ、語り継がれるかと言えば、それは、やはり、言葉の力に他ならない。
ここに出てくる幻覚剤を試したことはない。
メキシコの呪術師なんてものが本当にいるのか、いたのか、わからない。
人類学者のフィールドワーク、という体裁の " 物語 " なのかもしれない。
しかし、ドン・ファン、ドン・ヘナロたちの語る言葉の、強さ、美しさ。
比喩なのか、言葉通りの意味なのか、わかりかねるその言葉たち、その声の背後の意思、作り物とは思えない真実の響きを宿している。
" 物事が現実になるのは、人がそれが現実だと認めることを学んだ後のことなんだよ "
箴言集として出されても納得!の言葉たちが、特に強調されることもなく、隠すわけでもなく、さらっと書かれてあるのも特徴だろう。
だから、読み逃せない。
だから、何度も読んでしまう。
だから、読むたびに発見がある。
だから、そりゃあ、箴言集も出る。