『魔法の呪文シリーズその2 ”逃げます ” 』
自分より遥かに強大な、金と権力ーー力ーー持つ” 首領 ” に脅された時に有効である。
若者向けである。
”キマイラ”シリーズ巻の3 餓狼変
腕っぷしにかけては少々自信のある、巨漢の高校生、九十九三蔵は、自分より遥かに強大な” 力 ” 持つ”黒幕” に、
「君は私に勝てない」
と断言される。
「これ以上、この問題に深入りするのはよしたまえ」
という、年長者からの”制止”、”恐喝”
『君は私に勝てない。
なぜなら、”闘い”とは、1対1の殴り合いではないからだ。
金、権力があれば、誰かを雇うこともできるし、事故として揉み消すことだってできる。
金と権力を持つ者に逆らって、勝てる見込みなどないのだよ。
だから、もう、ここでやめたまえ。引き返したまえ。
君は私に勝てない。
勝つ方策があるとでも?』
要約すれば、そんな問い、恐喝に、
心優しき、しかし裡には凶暴さ秘めた、巨漢の高校生、九十九三蔵は静かに答を返す。
まともにやり合って、勝てるはずもない相手に、言う。
「逃げます」
「逃げて、あなたが死ぬのを待ちます」
あっさり負けを認めると同時に、
”最終的には自分が勝つ”
と宣言する。
”己の意思は枉げぬ”
と告げる。
自分を遥かに上回る、強大な権力持つ者に脅された時、そっと呟く、
「逃げます」
その言葉には、
”勝つまで、待つ”
”待って、勝つ”
暗闇の中、静かに燃え続ける蝋燭の如き、凛と苛烈な光と力が灯る。
生涯を賭けた、決して負けられぬ魂の闘いに臨む時、長期戦に備えるのも戦士の心得。