『すぐそばに、北斎とその娘と、ソクラテスとその妻』
今週のお題「最近おもしろかった本」
再読である。
" 江戸を見に往く " のである。
「活写」という言葉がある。" 文章・画面などに、いきいきとあらわすこと " と三省堂国語辞典にある。
映画も、原作も、『百日紅』、活写されているのである。
江戸が。
葛飾北斎が。その娘が。その家族、そこに生きる人々が。もののけが。あやかしが。
「なんだか、よいものを見た」あるいは「聞いた」
それは、知識がひとつふたつ増えて、脳の記憶庫に蔵書が増えたというよりも、心の土に透明な水が染み渡るようなもので、そこに育つ苗やら樹やら花やらが、喜ぶ。
そんな本である『百日紅』
そんな本と言えば、『帰ってきたソクラテス』もまた。
" 哲学エッセイ " と命名されていたが、感触が『百日紅』と似ている。
誰だっけ。
読んでいくうちに、
「あ。なんだ。ソクラテスってこんな人だったかー」
親近感湧き、気付けば、
「哲学って何なの」「なんだ、そういうことか」
考えることも楽しくなってきて、本家プラトン作品読んでみたら、
「あれ、おもしろいじゃん…!!!」
" 哲学 " の敷居、ぐっとさげて、広い広いところへと案内してくれる、お得すぎる名著『帰ってきたソクラテス』
最近、全3巻まとめて単行本化。何度でもよみがえる、ソクラテス。
文庫化されているものだと2巻にあたる
『ソクラテスよ、哲学は悪妻に訊け』
ここで、ソクラテスの妻、クサンチッペが登場する。
「活写」というにふさわしい、ソクラテス・クサンチッペの夫婦漫才。
本質の話をしているので、色褪せない。
「よい本を読んだなー」
読後、吹き抜ける風も心地よい。
「いい本ある?」