『生命核に響くその音像を鏡とする』
たとえば。
世界に満ちる「悪意」をウィルスのようなものと捉えてみる。
「悪しきもの」とは、それに「感染」した「患者」と捉えてみる。
この世には、ウィルスが蔓延している。
自覚症状のない患者たちで溢れ返っている。
多数決がよしとされる世界では、寧ろ、感染するのが望ましい。
余計なことを考えず、貶め、裏切り、せせら笑い、褒め殺し、口先三寸あるいは力づく、「敵」から奪い取る。
やがて肉体は滅びる。
「悪意」に罹患し、受け継ぎ、流す、通過点としての生は、そして終わる。
何のために生きた?
そっちのほうが、ずっと、怖ろしい。
この世に生を享けた。
そこに意味があるかどうかは知らず、答えはおそらくなく。
それでも、そこに何らかの価値を見出す、創りあげる、生み出すことができるのが、人間というものだろうと。
そんなこと思う、生命力漲り溢れるenvyの新作。
" 無神論者の角膜 "に映る世界。放つ音。
生命の核、眠る力が眼を覚ますような。
演奏。表現。
音色の美しさ。温度さえ。
" 刻む時と糸 " の音圧、振動。びりびりと呼応するように震動する身体。
凄かったな、5月の恵比寿。