『7月、太陽に恋をする』
彼女の名前はユーリといって、自由で奔放で、魅力的。
彼女が好きになった男はダニエルといって、これから教師になろうという、イマイチ冴えない、「彼のどこがいいの?」正直な女友達は言う、しかし憎めない男。
それでもユーリは確信してる。
'' 彼が運命の男 '' と自分の確信、信じて疑わない。
「あなたは " 太陽を背負った娘と恋に落ちるわ " 」
予言してみせ、パーティに誘う。
そしてダニエルは恋に落ちる。
暗示を鵜呑みに、太陽まとった、たまたま出会った綺麗な娘メレクを " 運命の女 " と恋に落ちる。
旅人の彼女の行く先はイスタンブール。
彼女を追って、ダニエルは旅に出る。
一方、恋の罠を仕掛けたものの " ナイスアシスト! " に終わり、心を打ち砕かれたユーリも旅に出る。
「止まった車の行く先が行くところよ」
ヒッチハイクで旅に出る。
止まった車。
「乗りなよ」
運転手はダニエル。
2人のイスタンブール行きの旅が始まる。
観ている間も、観終わったあとも、嬉しさで心が跳ね踊る、ロードムービーにしてラブストーリー。
ドイツはハンブルクからルーマニア、ブルガリアを経てイスタンブールへ。
道中、次から次へと現れる人物たちの魅力的なこと!
ゲバラを腕に彫りこんだ、トラック運転手レオ。
したたかで、妖艶な悪女、ルナ。
死体を運ぶ、悪人面のスキンヘッド、イザ。
国境警備の感じの悪い役人。
ほんのチョイ役で出てくる、砂浜でビールをおごってくれるドイツ人青年も粋。
そう、出てくる人物、皆それぞれが魅力的。憎めない。
一風変わった路上の天使たち。
祝福と幸運のウィンク。
楽園ってのは、天上にあるんじゃなかったね。
恋と愛と、情熱と笑いと、夏の恋物語って言ったら『太陽に恋して』
まっすぐに愛放ち、想い人の告白受け止める '' 7月の太陽 '' ユーリ。
慈しみと微笑たたえた力強い瞳が、とても綺麗。
同監督、イスタンブールの音楽ドキュメンタリー " クロッシング・ザ・ブリッジ " も隠れ名作。
ノイバウテンのベーシスト、ハッケがガイド役となって、ルーツとジャンルと今と過去と混ざり合った、刺激的かつ生命力に溢れたイスタンブールの音楽を紹介。
監督は音楽を愛している人だし、ハッケも「音楽」な人だし、で見ていて愉しい。
そしてトルコに行きたくなる。