『ミッシェル・ガン・エレファントという奇跡について語る 最後の回 " BURNING MOTORS GO LAST HEAVEN " 』
最終回。
全25回に渡り、時系列に沿ってミッシェルガンエレファントについて語ってきた。
これで最後である。
本稿を書きたいがため、「それ」を叫びたいがゆえ、24回をかけたとも言える。
それはラストライブ " BURNING MOTORS GO LAST HEAVEN " についての一件である。
いまさら声を大にして言う必要などない、ミッシェルガンエレファントの凄さ。
楽曲のすばらしさ。
ラストライブDVD " BURNING MOTORS GO LAST HEAVEN " には、その最後の姿が映されている。
新旧ナンバー織り交ぜた、最高のロックンロールの、ぶっ飛んだ夜の宴の様子が映されている。
音も最高だ。
しかし、入門編ではない。
ここから見ては、もったいない。
そう、何が一番言いたかったかというと、
「ここからミッシェル入っちゃだめだよ!!!」
なぜかというと、
「もったいないから!!!」
ここから観るというのは、見ごたえ満載の長い長いロードムービーの最後の巻だけを観るようなものである。
ましてや、
最後の最後の大ラスの " 世界の終わり " を、分割された映像を見てしまうというのは、
読みごたえ抜群の大感動の長編物語の最終話を先に読んでしまうようなものである。
このラストライブは、ミッシェルの最後の巻なのである。
変化し、変化し、
時代を動かす何かを食らい、その時代すら転がしてやろうと変転を続けた、
希代のモンスターの軌跡。
その最後の姿。
「それ」が、最後に、どう果てるのか。
このDVDには、その最後が、克明に記されている。
魂が、抜けてゆく。
「ミッシェル・ガン・エレファント」という、ロックンロールの化物が昇天する。
これは、克明なドキュメンタリーフィルムでもある。
前回書いたが、" ジェニー " の時ぐらいなんじゃないだろうか。
躍り狂え、浮かれ、騒げ、
とロックンロールの馬鹿騒ぎに酔いしれることができたのは。
あのミッシェルの最後。
本当に最後のライブ。
その場に居合わせることのできた幸運なファンは、高揚と、ある種の悲しさも携えていたはずだ。
オープニングまでの時間。
一発目は何なんだろう? アタマ一曲目には何がくるだろう?
でもやっぱり胸を高鳴らせて。
そして、始まるーー
その音。
" ドロップ "
この瞬間に落涙したファンもたくさんいただろうと思う。
終わりと始まりと。
ああ。
ミッシェルを好きでいて、よかった。
抑えきれず顔を覆ったファンもいたであろうことは想像に難くない。
" ブギー " があれほど切実に響いた夜もなかったろう。
" 赤毛のケリー " があれほど似合った夜もなかったろう。
" エレクトリック・サーカス " の夜。
映像はただあの場を映そうとしている。
余計な説明を一切しない、彼らのライブにふさわしい撮り方をしている。
だからこそ、迫ってくるものがある。
あの表情、あんな顔、見たことがない。
一音にこもる熱量は桁はずれ、演奏は凄まじい。
それなのに、あの顔はーー
胸がぐっと掴まれる。震える。
心臓が泣こうとする。
" 世界の終わり "
最後の1曲。
その1曲にいろんなものが詰まってる。
「ああ」ってため息つくか、「ああ」って涙流すか。
言葉にならない何かを受け取る。
だから、ここから見ちゃだめだよ。
" wonder style " から " cult grass stars "
順に聴いていくといいよ。