読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

SOUL EAT!!!

歓び跳ねる、踊り狂う、炸裂する虹、そのかけらを一灯

鬱病のともだち

 

幼馴染みの友人が「鬱」な「ニート」になって、かれこれ10年近くになる。

 

離婚した。

仕事を辞めた。

 

そのあたりが引き金となったのはわかりやすい「理由」で、本人は今も

「何が何だかわからない」

「動けない」

と言うが、周りの親しい仲間たちは皆だいたいその根本原因を理解している。

 

 

彼は小さい頃から笑いのセンスにあふれ、みんなを笑わせていた。

 

彼は何故だか女子に好かれ、いつも女の子たちとキャイキャイ言っていた。

 

彼は歌がうまく、カラオケに行くと、聞いていた連中に「……ほう」「やるな……」と、手を止め聴き入らせる魅力があった。

 

彼は親思いで、父と母、家族を大切にすることを信条としていた。

 

彼はいわゆる勉強はできないが、運動神経に優れた「面白い奴」だった。

 

彼はすぐに食べ過ぎ、あっという間に10キロ太ることのできる特異能力を持っていた。

そして、ストイックに肉体を鍛え上げ、あっという間に10キロ落とすこともできる驚異的な体重操作能力を持っていた。

 

若いころから、仕事は長続きしない方であったが、「これ、続けるわ」と決めた仕事には愚痴や不平や不満を撒き散らしながらも、しっかりキリのいいところまで続けた。

 

 

欠点と言えば、勉強嫌いで、今テストをやり直しても偏差値が底辺をさまようことくらいだろうか。

 

汗をかく量が半端なく、臭いもしないのに、「俺、いまくせえ」に違いないと気にするところだろうか。

 

「車で寝泊まりして旅行しようぜ」と自分が提案したくせに、

「ワゴンの後部収納スペースは下が固くて寝れない」

助手席を倒した一番寝やすいはずのシートを譲ってやっても、

「寝れやしねえ」

と不機嫌になったり、

しょうがないから旅館に泊まってやっても、

「枕が違うと寝れねえんだよ」と毒づくところだろうか。

 

次から次へと彼女を変え、

「俺はさ、やりてえだけだから」

と、しかも自分から喜びを与えてやることにさして興味がなく、

奉仕を求め、潮吹かせてナンボといった間違った性癖を持っていたところだろうか。

うん、間違いない。男としてどうかと思うな。欠点っていうか、最低だよね。うん。

 

 

でもさ、おまえは人間として劣っているし、男としてひどいし、たまにやなこと言うし、そのくせ言われ返すとすぐにへこんで、しかもそのこと根に持つし、いわゆる女の腐ったような奴だけどさ、

 

 

俺もそうなんだぜ。

 

 

知らないよ?

おまえがそんな欠点気にして鬱なんだか、ニートなんだか。

でも一応、言っておこう。

 

 

もう10年。

たまに「気が乗った」ってタイミングで酒飲むのも、最近じゃ1年に一遍あるかないか、

こっちもアドバイスするのも効果ねえなって気付いてその話題には触れないようにして。

 

 

「それは必要な時期なんだ」

とか、

「見ているこっちがつらくなる」

とか、

「おまえ、もったいないよ」

とか、

「いいところも多少はあるよ」

とか、

「変えようとすることはいけないことだ」

とか、

今でもいろいろ考える。

 

 

直接会って、まじめに話す。

遠回しに笑い話みたいに話す。

まったくそんな話をせず、気持ちに耳を傾ける。

「てめえ、いつまでウダウダやってんだよ」とキレてみる。

とりあえず何でもいいから心の動く方向に動いてみりゃいいのに、とやんわり後押しする。

 

じっと待つ。

 

いろいろ試したもんだが、変わんねえな。

そう、欠点、もう一個見つけたよ。

おまえ、本、読まないのな。

読めよ。

 

幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII

 

 

タイトルだけ、読め。

おまえに足りてない。