『静寂で獰猛』
念願叶って、ようやく。
あの轟音をライブで聴いてみたい、体感してみたい…!と思い続けて、ようやく。
1時間ほどのステージだったが、聴くことができた。間近で見ることができた。
MONO、想像以上に凄かった…
美しくて、悲しい旋律。
静かで、激しくて、壮大で、美しい、美しい、轟音楽。
映画の一場面のような情景。
哀しいけれど、暗く陰鬱ではなく、どこか温かみを感じさせる音。
抑えきれぬ感情の昂ぶりが、音の洪水となって溢れ出すような激しさ。
もし魂が肉体を離れ、天上に昇ろうとするのなら。
その途上、音楽が聴けるなら。
MONOの音楽がいいな。ロマンチックだし、激しいのに儚くて、あれやこれやの過去も何もかも全部綺麗な塵に変えてくれそうだし。
などと考えていた。
Mono / Pure as snow ( Live in Bangkok ) - YouTube
しかし。
ライブを体感して、印象が変わった。
MONOの音楽は、「死」に向かう音楽ではなかった。
美しい、静かなイントロ。
その静寂パートでさえ、猛々しく、精気がみなぎっていた。
静かだから、穏やかとは限らず、蝋燭の火でさえ高温、微風に揺れていても、焔は焔。
その熱さは素手で触れられるものではないような。
時によっては、牙を剥き、突き立てることに躊躇うことなどない、野生の獣がゆっくり歩いていても、獣は獣。
その佇まいを前に、気を緩めることも、眼をそらすこともできないような。
食い入るようにして、見入ってしまった。魅入られてしまった。
そして轟音はどこまでも心地よく、「快」だった。
天上に昇る魂を、安らかに、と。
見送り、消えてゆくような儚さも確かに。
しかし、その日体感したMONOの音楽は、天上に昇らんとする「行ってはならない魂」を引き戻すような力があった。
強い、強い、音だった。
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