『リングサイドに神がいる』
朝、目覚めると、喉が痛い。
『よっこら…』と身を起こすと、だるい。
身体が重い。
あ。来たな。
風邪のやつ。
あーあ、やんなる。今日も仕事。週アタマからこれかよ…
とは、しかし思わないのである。
やったことはないが、サーフィンでいう『いい波』が来たときってこんな気分なのではないかと推測する。
風邪。そう、それは、
…チャンス…!
いい波には乗るのである。
波に乗ったあとは、もう、気分爽快である。
ゼロに戻るというより、『昨日よりよくなる』、プラスになるのだから、もうすでに気分は爽快である。
自然がくれた修行と捉えるのもよいと思う。
『ただの風邪』で強くなれるんだから、儲けものだ。
今回のケース。
風邪を招いたのは、睡眠不足と疲労が原因と思われる。1ヶ月ばかりまともに休まず、動きっぱなしだったのだ。
よって、身体は休みたいと言っている。
よって、これは寝れば治るタイプである。
レベル1クラス。
しかし、この程度でも熱が出て汗が出て鼻水が出て、と排泄が始まればラッキーである。
眠りつつ、身体を休めつつ、いらないものを出してくれるんだから、ありがたいことこの上ない。
面倒なのは、着替えくらいである。
個人的に、風邪をひくと、僕はトマトジュースを飲む。
塩を入れて、レモンを絞って、タバスコをかけて、ぐいっと飲む。
治る気がする。
勝負食みたいなものである。
ただのジンクスである。リコピンはあまり関係ないだろう。だが、そういう、『風邪をひいたときは、これ』という食べ物があると、風邪をひいたとき、反応が速くなる。戦闘態勢に入るというか。
そして、味噌汁を飲む。
右ストレートからの、左アッパー!の気分である。
喩えがサーフィンから格闘に変わっている。
そう、苦しいときは、身体の中で免疫機構たちはきっと戦ってくれている、と思うのである。
応援物資を送るような心持ちでもある。
と、そんな話はさておき。
本当に役立つ本のことである。
僕の戯言はすっ飛ばしても、この本は読んで欲しい。
風邪について、治し方、経過についても書かれているが、
なんといってもそのタイトル、
『風邪の効用』
『効用』が説かれているのである。
根本的に見方が変わる。
なんだよ、もっと早く知ってれば…!
である。
ん。風邪かな。
と思うたび、ちょっとわくわくする。
ただの風邪ごときで人は死なない。いろいろ試すチャンスである。と僕は考えている。
いかにも辛そうに、マスクをつけ、ぐでっとした姿を人目にさらすわけにはいかないという、
誰も僕のことなんざ気にしちゃいないとはわかっているが、矜持もある。
しかし、それより、何より、
枕元に、野口晴哉さんの本がある。
「なんて書いてあったっけ」
「野口さんならこれをどう捉えるんだろう」
超一流の、神様みたいな人の言葉が、すぐそばにある。
名トレーナーがリングサイドにいて、励ましてくれるようなものである。
負ける気がしない。