修羅の国へ、ようこそ
今日は『ウィッチャー3』の主人公ゲラルトに、強いメンタルの作り方を学びたい。
そこが地獄であろうが魔界であろうが、果敢に飛びこむ勇気と、心を平静に保つ術を学びたい。
Z指定は伊達ではない。
美しいグラフィックに、陰惨極まりない地獄絵図。
風光明媚な自然世界を馬で疾駆する、爽快感。
むごたらしい、救いのないエピソードによって生じる絶望感。虚無感。
美しさとおぞましさの渾然となったこの世界を堪能できるのは、酸いも甘いも嚙み分けてきた大人たちだけだろう。
主人公ゲラルトは常人ではない。
この世の闇を知り、魔法を使い、剣を振るい、怪物を退治する異端の存在、ウィッチャーである。
中世ヨーロッパで魔女が迫害されたように、ウィッチャーもまた偏見の眼で見られ、忌避され、畏怖されている。
ゲームプレイ自体は操作に慣れてしまえば快適で、さくさく進めることができる。
魔法と剣を使った戦闘もコンビネーションがはまると気持ちがよい。
全世界を震撼させるほどの危機に立ち向かう、壮大なロマンには胸が躍る。
気のいい仲間たちとのやり取りも楽しい。
問題は、プレイヤーの心を折りにくる、『声』だ。
ひどい依頼。むごい現状。悪夢のような結果。
は、耐えられる。
意を決してエピソードに飛びこみ、いくらかの後味の悪さがあっても、一歩前進したことは間違いなく、ひとつやり遂げた達成感は味わうことができる。
プレイヤーの心を折りにくるのは、街だ。
人との関わりだ。
街を歩いているだけで、罵声が浴びせられる。
唾を吐かれることもある。
侮り、蔑み、憎しみをこめた言葉のつぶてが、街を行くだけで、容赦なく降り注ぐ。
異端と認定された存在の悲しみ、苦しみ、やるせなさがいやというほど感じられる。
それでも、ゲラルトは己の決めた道を行く。
面倒なことになったら容赦なく斬り捨て、
したたかに、タフに、大切なものを守り、生きる。
おまえら木っ端に関わってる暇はない。
と一瞥くれることもなく、もはやその程度の罵詈雑言など豚の鳴き声でしかない、と全く気にかけることなく、ゲラルトは行く。
くだらない奴等はどこにでもいる。
とか、
相手にしてもしょうがない、そんな奴。
とか、
自分に言い聞かせたり、己のプライド証明するためになんやかんやと心を騒がせない。
だって、耳障りな獣の鳴き声でしかないのだから。
行くべき場所がある。
護りたいものがある。
だから、ゲラルトは走る。馬を駆る。
胸に愛を宿すか、冷酷に現実を裁いていくか、それはプレイヤーに委ねられている。
愛ある選択が必ずしも実りある結果をもたらすとは限らない、シビアな世界だ。
それでも、選ぶのだ。
どんな結果が待ち受けていようと、
己が、選ぶのだ。
ダウンロードコンテンツ第2弾 " 血塗られた美酒 " の解放感は素晴らしいですね。
光と風とワインの国、トゥサンの描写の美しいこと!