『オープニングから魔法は始まっているのだよ、と。』
喩えていうならそれは、天才シェフの作るアペタイザー集。
"オードブル"って言ってもいいんだけれど、"アペタイザー"のほうが雰囲気が出ていいと思うのですが、どうでしょう。
エフェクターの名前にありそうだし。
イコライザーと兄弟みたいに聞こえるし。
そう、音楽の話です。
ライブ前に流す、一曲目が始まる前、ステージに出演者が出てくるときに流す音楽。
客電がぱっと落ちて、鳴り始める、その音。出囃子とかSE。
そのSE音源集。
お客さんが聴いている音じゃなくて、ステージ側のモニターで聴こえている音にミックスしてあるそうで、確かに、これ、高揚します。
お客さんの歓声を、ステージ側から体感している気分。
" 導入のマジック "
まさに。
導き入れるための仕掛け、その教科書のようでもあり、” 魔術の秘密一部公開 ” のようでもある。
しかし、これ聴いていると、ざわざわしてきてしまう。
何かのスイッチが入ってしまう。
一曲目が始まる。幕が開く。覚醒した眼で臨戦態勢。
体が勝手に何か始めようと動き出してしまうという、困った音源集でもある。
天才シェフが作るアペタイザー。
それも美味いに決まっているのだった。