『流線型の夢を放つ』
今頃観た。
" 風立ちぬ "
「あの」宮崎監督最後の長編映画。
「あの」ジブリ。
主演の声は「あの」人で。
とか、「あの」がついてしまうのは避けられず、何がしか先入観持って観てしまう。
しかし、そんな「あの」吹っ飛ばす傑作。気付いたら見入ってた。
かつて日本が美徳としていた「男児のあらまほしき姿」を体現するかのような主人公。
抱く美しい夢は、狂気孕んだ時代の風に、呪いを受けさえし、
しかし、それでも彼は腐ることも澱むこともない。
互いに惹かれあう、運命の恋人たち。
その契りは、どんな苦難にあっても、けっして破られることはなく、永久に繋がれ続ける。
胸に理想抱き、懸命に生きよ、とその作品は言う。
絵空事も大概に。
「まあ、そうであったら、いいよね」
「お話」「作り話だからね」
と、しかし。
そうは思わせぬリアリティ。
凛と立つ、「まっとう」な清冽さ。
「アニメ」なんて「映画」なんて「作品」なんて、「娯楽」でいいでしょ。
と捉える人にはまったく向けていない、" 風立ちぬ "
(しかし娯楽作品と見ても十分愉しめてしまうというクオリティ…)
忘れた頃にまた観たい。