『煌めく無数の星々をその手に』
銀河を舞台にした英雄たちの群像劇『銀河英雄伝説』
おそるべき傑作である。
帝国VS同盟。
独裁主義VS自由民主主義。
そこに裏より宇宙を牛耳ろうとする第3の経済国家が加わることで三つ巴。
架空の宇宙の人類史として、後世の歴史家が記した書の体裁で描かれた、英雄たちの物語、銀河英雄伝説。
何度となく、読み返してしまう。
蒼氷色と書いて、アイスブルー。
金銀妖瞳と書いて、ヘテロクロミア。
戦艦の名にはユリシーズ。
黒色槍騎兵艦隊と書いて、シュワルツ・ランツェンレイター…
思いつくまま、そこに登場する言葉を挙げていくだけでも、世界が立ち上る。
なんて壮大で、鮮やかで、ロマンに溢れているんだろう…!と胸は高鳴る。
人名ひとつとっても、美しい。
その2人が紡ぐ物語もまた、美しい。美しく、哀しい。
金髪と赤毛。無二の親友。分かちがたい絆。
2巻ラスト、何度読んでも締めつけられる胸。
天才的な能力を有しているにもかかわらず、本人はその力を忌み、民主主義の " 政治 " に巻きこまれ、やらざるを得ず「やれやれ…」、ベレー帽の魔術師ヤン。とその仲間たち。
寄せ集め13艦隊の物語、ヤンを北極星に志受け継ぐユリアンの物語も、折にふれては読み返したくなる。
何故。何故なのだ。
でも、わかる。そうせざるを得なかったのだ。
それが業であったのだ。
悲劇は眼に見えていた。終幕を感知していたはずだ。
にもかかわらず。
ロイエンタールの物語。それでも貫き通す美学。
生涯の戦友と、信頼し誇りに思い、ともに戦ってきたミッターマイヤーの心情。
なぜ、おまえは。
名言、名場面、名キャラクター溢れる、架空の銀河の興亡史
『銀河英雄伝説』
必読。必携。何度も読みたい全10巻。外伝もあり。
アニメ版、声、ぴったりだと思う。オーベルシュタインいいよなー。
漫画版のヤンとユリアンもいい感じ。
舞台、どうなんだろう?河村隆一版ヤン、観てみたい。