SOUL EAT!!!

ぐるぐる回る 風の時代がやってくる

『てめえらそこをどきやがれ!』

 

 驀進する春の獣が眼に浮かぶ。

散った桜の花びらを、再び舞い上がらせて、

直進、怒涛の勢いで突き進む、

 

“蹴散らして、進め!!”

 

獣の姿が眼に浮かぶ、

タイトル出オチ!タイトル最高!そのタイトルだけで、もう力!

 

夢枕獏の短編

『てめえらそこをどきやがれ!!』

 

かの有名な、サイコダイバーシリーズの原点であり、

かの有名な、毒島獣太の原点でもある。

 

って。

えっ。まさか。

 

サイコダイバー

毒島獣太?

 

精神に潜るんです。

人の心の中に潜るんです。

怪異な現象引き起こすのは、人の心に潜むドロドロの念。

 

裡にひそむ“魔”や“妖”をヴィジョン化してみせた、

“活字でしか表現できぬ描写”も素晴らしい、サイコダイバーシリーズ。

まずは『魔獣狩り』から!

 

なのだが、今日は

『てめえらそこをどきやがれ』

の話である。

毒島獣太という男の話である。

そんな台詞が似合うのである。

 

超絶的美貌の持ち主であり、

サイコダイバーとして最高の能力を有するだけでなく、

超一級のピアニストでもあり、

“男”としても超一級の精力を誇り、

なおかつ女性に優しい紳士でもあり、

つまりは“人間”として超一級なのだが、

それがすべて自画自賛。

一人称で語られる。

まさに愉快。愉しく、快い。

相棒の凄腕陰陽師が、チンパンジー似の老婆というのも笑ってしまう。 

 

“俺は最高である”

 

微塵も揺るぐことのない、己への賞賛。

突き抜けたナルシズムの圧倒的な“陽”

 

そんな男が叫ぶ。

 

『てめえらそこをどきやがれ!!』

 

海も割れそうじゃないですか。

 

黄金獣(上)淫花外法編 サイコダイバー (祥伝社文庫)

 

 

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