2015-05-24 『悲しくて、痛い』 小説 / 本 腹腔、うねり、渦巻き、鎌首もたげる大蛇のような。 冷静に冷静にと呼びかける調教師の言葉など聞く耳持たぬ、獣の類のような感情。抑えきれずに、わななく身体、 「あー、だめだ」 ぷちん。 切れてしまう。 つないでいた何かがちぎれてしまう。 その感じ、よくわかる。 一時期、花村萬月ばかり読んでいた。 悲しくて、痛い物語ばかり。悲しくて、痛いからこそ、響いた。