発光、認め、走り出す
ROSSO の名曲 『発光』
冬の歌。
マイナス6度の世界。屋根のはげたジャガー。シートにひとり潜りこむ男。
イントロの音、描かれる情景。
映画を観ているよう。
けだるげな声。
ひとり行く当てもなく、マイナス6度の世界で、車の中。
冬の冷たい風。
ひとり。
行く当てのない孤独。
文学作品の味わいもある、冬の歌。発光。
でも、ロックンロール。
行く当てもない彼は、マイナス6度の世界で凍え死んだりはしない。
虚無に囚われてはいても、闇に喰われはしない。
光を見たから。
もの言わぬ光に命を見たから。
けだるげで、生きる意志も失っている男の声に、生気がふたたび。
後半、ゆっくりと、ビートが加速してゆく。
声に力強さが宿る。
マイナス6度の孤独を生き抜こうとする、意思が灯る。
絶望を見据える瞳は、もう曇ってはいない。
後半、叫ぶように歌われる、「発光……!!!」
胸をかきむしられるよう。
冬の名曲。